弱酸性次亜塩素酸水溶液に関するガイドライン

このガイドラインは、当協会に加盟する弱酸性次亜塩素酸水溶液を製造する企業が製品製造の際に遵守すべき事項を定めたものである。尚、当協会では消費者からの申し出などにより、当該ガイドライン遵守状況等の確認や調査を行う場合があるため、加盟する正会員は当該確認や調査に協力していただけることについて同意するものとする。
 

 1.  弱酸性次亜塩素酸水溶液の定義と生成方法 

次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を希塩酸(HCl)や炭酸ガス(CO2)で希釈混合してpH調整した水溶液

2. pHについて

弱酸性次亜塩素酸水溶液のpHは5.0~7.0を基本とする。超音波噴霧器を用いて空間噴霧に使用する場合はpH5.0~7.5を推奨する。

3. 塩素濃度について

超音波噴霧器を用いて空間噴霧に使用する場合の塩素濃度80ppm以下とする。
希釈して使用する次亜塩素酸水(溶液)については、超音波噴霧器使用時の希釈方法を明記し、原液のまま使用することがないように注意喚起を行う。

4. 弱酸性次亜塩素酸水(溶液)の安全性(及び有効性)の確認について

第三者機関にて安全性及び有効性について検証を実施していることが望ましい。

安全性については、下記①~④について検証を行うことを推奨とし、①~④以外にも安全性に関わる試験を実施していることを推奨する。

  1. 皮膚一次刺激性試験
  2. 急性経口毒性試験
  3. 眼刺激性試験
  4. 吸入暴露による急性及び慢性毒性試験

ユーザーより安全性(及び有効性)についての根拠を求められた場合には上記試験データを提示ができるようする。(試験機関、実験方法、結果、報告書NO.の提示は必須)

生成装置メーカーにて各種安全性試験を実施している場合はそのデータを確認し、保有しておく必要がある。

5. 製品安全データシート(SDS)について

提示を求められたらすぐに提示できるようにする。ただし、SDSは安全性の証明とはならない。

6. 製品表示について

下記事項を必ず製品に明記する。

  1. 液性、生成方法、主成分 
  2. 塩素濃度
  3. 希釈方法についての説明(希釈が必要な場合)
  4. 製造日
  5. 使用期限
  6. 弱酸性次亜塩素酸水の濃度低減、pH変化について
  7. 保管場所等、取扱い関する注意事項

液剤の濃度低減、㏗変化については、製品に明記出来ない場合は、別途パンフレット・ホームページ等で製品とともにお客様に説明を要する。尚、その際には、紛らわしい表現や薬機法に抵触するような表示を行わないように十分に注意する。次亜塩素酸水溶液(HOCl)と次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の違いについても明確にし、次亜塩素酸ナトリウムを空間噴霧しないことを説明する必要がある。

7. 生成における品質管理について

  1. 原材料である次亜塩素酸ナトリウムの保管は冷暗所で行う。冷蔵保管もしくは納入後3ヶ月を超えたものは使用せずに処分する。
次亜塩素酸ナトリウムは低温冷暗所以外での保管および経時変化により劣化しやすい薬剤です。塩素濃度低下だけでなく、人体に有害な臭素酸が徐々に増加するため、古い次亜塩素酸ナトリウムは使用しないことが望ましいです。そのため、高温になる場所や直射日光を避けて保管し、貯蔵期間を短くすることが必要です。
  1. 次亜塩素酸ナトリウムについては一級品以上を用いる。
一級品・特級品は臭素酸、塩素酸、塩化ナトリウムといった不純物が少ない。これにより次亜塩素酸ナトリウムの分解も抑えることができます。
  1. 品質管理フローは以下のように行う。
  1. 次亜塩素酸水生成にあたっての手順書(マニュアル)を作成する。(各企業独自のフォーマット可)
  2. 生成装置から生成する弱酸性次亜塩素酸水溶液は最低100L以上のタンクに入れて管理するものとする。タンクに貯留した弱酸性次亜塩素酸水溶液は製品としてテナー容器等に充填をする前に、毎回phと塩素濃度を測り記録しておく事とする。弱酸性次亜塩素酸水溶液の製品に表示する製造年月日のシールは、生成装置で弱酸性次亜塩素酸水溶液を生成した日とする。但し、タンクに一部残留した状況で、弱酸性次亜塩素酸水溶液を継ぎ足して生成する場合には、その継ぎ足した日を製造日とすることでも構わない。
混合式の場合、濃度とpHを一定にするために必ず行ってください。
  1. 生成された弱酸性次亜塩素酸水の濃度及びpHを充填前に確認し、記録すること。
  2. 濃度及びpHについては自社にて出荷基準を定め、基準に当てはまらない場合は再調整を行った上で充填する。
  3. 濃度やpHを測定する機器については、定められた期間にて校正を実施し、その記録を残す。
  4. 1年毎に生成装置の点検整備を行い記録を残す。(自社点検可)
  5. 弱酸性次亜塩素酸水生成に関する管理者をおく

8. 製品出荷について

生成した弱酸性次亜塩素酸水(溶液)は充填後、可能な限り早く出荷する。14日以内に出荷することとする。出荷までは必ず冷暗所にて保管する。製品には必ず製造日を記載する。このとき出荷日を製造日としないこと。

9. 充填容器について

耐薬品性及び遮光性のあるものを使用する。バックインボックスについてはガスバリア性がある方が望ましい。

このガイドラインの改廃は、理事会において決議する。

2021年5月25日制定

一般社団法人日本弱酸性次亜塩素酸水溶液認定協会